
ボーナスママ(継母)として14年やってきて、ステップファミリーが関係を築いていくためには、それぞれの関係性ごとの時間の作り方がとても重要だと感じています。
あわただしく過ぎていく毎日の中では、意識して作ろうとしなければ時間は生まれないことを痛感してきました。今回はわたしが意識して作っている時間を8つご紹介します。
ステップファミリーに必要な時間①<夫婦の時間>

ステップファミリーに必要な時間の1つ目は夫婦だけで過ごせる時間です。
これは子連れで結婚したステップファミリーにとっては作りづらいけれど一番必要な時間だと感じています。
ステップファミリーは早く家族になることを意識しすぎて、とにかく家族全員の時間をつくることを大事にし過ぎる傾向があります。
- 休みは家族でおでかけする
- ご飯は家族みんなで食べる
- 寝るときは川の字で
- リビングでみんなで過ごす
- 買い物もみんなで行く
・・・みたいな空気、あなたのおうちには漂っていませんか?
我が家も初期の頃はこんな感じでした。
もちろんすごくいいことだとは思うんですよ。
家族になったのだから一緒に過ごしたいという気持ちはあるんですよ。でも、実親と継親では<継子と過ごす時間>に対しての緊張度というか気を遣う度合いが違うんです。家族になりたての状況で、常に一緒を目指しすぎると疲れてしまうんですね。
また、子連れでの結婚は初めから子どもがいる状態になるので、夫婦の価値観をすり合わせる時間がありません。
休みの過ごし方の好み、食事の好み、どれくらいの睡眠時間がちょうどいいのか、寝るときの電気の暗さの好み、好きなテレビのジャンル、買い物の仕方・・・・夫婦でもかなりの差があるはずなのに、すでに子どもがいるボーナスファミリーでは、子どもの好みが反映されやすくなります。
常に子どもがいる状態で過ごすということは、夫婦の心地よい過ごし方を模索する前に実親子のこれまでの暮らし方が大きく反映されやすい時間が延々と続くということなんです。
ボーナスママが自分の意見を遠慮なく言える関係ならいいのですが、ボーナスママになりたての時は子どもとの関係を築かなければと気負い過ぎてしまって、自分の好みを我慢したり、自分の生活のペースを他の家族に合わせることが多くなってしまいます。
本当の気持ちを言い出せないまま長い期間譲っていけば、やっぱり我慢の限界が来てしまうんです。その限界が来た時には、感情をぶつけ合うような大きな喧嘩になるのは目に見えています。
だから夫婦の時間は、初期の頃から意識して作った方がいいです。
1週間に一度でもいいし、1か月に一度でもいい。丸一日が無理なら、2時間でも30分でもいい。
今の自分の家族の状況に合わせて、夫婦で過ごす時間を作ってほしいと思います。
とは言え、夫婦の時間を定期的につくれているご家庭は少ないのではないかと感じています。ご相談をお伺いする中で「夫婦の時間は子どもが寝た後だけです」「二人でどこかに出かけることはほとんどありません」という方も少なくありません。ボーナスママにとって継子を交えて過ごす時間は「とても気を遣うものだ」ということを気づかない実親さんも多いのです。実親さんにとってステップファミリーとしての暮らしは、子どもがいることが当たり前だった生活の延長線上にあるからですね。
言わないと気づいてもらえないのですから、黙って悶々としているより相談してみる価値はあるのですが、ここで難しいのは「伝え方」です。
実親側は“継子をのけ者にされている”と受け取ると、とても怒ったりします。「子どもが可哀そうだろう」と反発されることもあります。こちらが勇気を振り絞って「夫婦の時間を作りたい」と提案しているときに、子どもの肩を持たれて不機嫌になられたら、とても傷つきますよね。ですが、そこで喧嘩腰になるのではなく、どう伝えたら自分の気持ちが伝わるか色々試してみてほしいです。
例えば、継子との関係を築いていくためにも、夫婦の時間を糧にしていることを根気強く伝え続けていくことで、少しづつ理解してもらえるかもしれません。また、継子を交えた時間をていねいに過ごして「のけ者にしたいわけじゃないんだな」と実親が安心できるように準備してあげるのもいい方法だと思います。短い時間から始めてみて、時間を作ってくれる度に「とても楽しかった!ありがとう!」とあなたが喜ぶ姿を見せてあげるのもいいですよね。
こんな風に書くと、もしかしたら「なんだか自分が下手(したて)に出ないといけないようで気が進まない・・・」と感じる方もいらっしゃるかもしれません。
ですが、実親の立場に立って、彼の置かれている状況を心からの共感をもって理解しようとすることは、わたしはとても大事なことだと思っています。
自分が欲しいのならまずは与える。
自分の気持ちや立場を理解してほしいのなら、まずは相手の気持ちや立場を理解する。
既に自分が守らなければならない“子ども”がいる状態で、子どもとボーナスママの板挟みの状態の中で夫婦の時間を作ろうと思うには、どんな状況だったら前向きに動いてくれるでしょうか?彼が「自分は子どもをのけ者にして結婚生活を楽しんでいる」と自分を責めずに、夫婦の時間を作るにはどうしたらいいでしょうか?
夫である前に、父親である彼の立場に立って、彼の気持ちになろうとしてみると、何かしら気づくことがあるはずです。家庭の状況や夫婦の性格によっても違いますから「我が家ならどうだろう」と考えることがとても大事です。もしかしたら、継子が学校や習い事の間の30分だけなら、後ろめたいと感じずに夫婦でコーヒーを飲めるかもしれません。継子が祖父母のところなどに泊まりに行く日なら、夫婦だけの外食も楽しめるかもしれません。
実際は自分が満たされていない状態で相手のためにばかり動くのはとても苦しいことです。わたしもそうでしたが、どうしてこちらばかりが我慢しなければならないのかと辛い気持ちになったりしますよね。ですが、相手に動いてもらうことを期待して自分が何もしなければ、状況は変わりません。自分のためにも、何かできることはないか?提案できることはないか?と考えてみてください。
二人でできる楽しいことを見つけたり、何もしないでゆっくり話すだけでもいいんです。夫婦がお互いに「あぁ、相手はこういうことが好きなんだな」とか「日頃あんまり言わないけど、こういうことを考えていたんだな」とか新しい発見をする時間になります。
ぜひ、次に夫婦で過ごせる時間をスケジュールに入れてみてください。
ステップファミリーに必要な時間②<実親子だけの時間>

ステップファミリーに必要な時間の2つ目は実親子だけの時間です。
これは、ボーナスママが過ごす時間というよりも、配慮して作ってあげるといい時間になります。大人である夫婦は「もっと家族らしくなりたい」と気負っているのですが、子どもの立場からするとこれまで独り占めできていた父親を取られてしまったような哀しみを多かれ少なかれ感じているものです。
たとえ子どもが結婚を喜んでくれているとしても、子どもなりに遠慮したり気を遣って過ごしているかもしれないと想像してみるのは大事なことです。
父親と子どもだけでお買い物に行く・公園に行くなど、小さなことでもいいので子どもが父親と二人で過ごせる時間を作ってあげましょう。継子が「父親は再婚後も自分のことを大事に想ってくれている」と感じられているかどうかは、継子の精神的な安定につながります。
実親子だけの会話の中でなら、子どもが今どんなことを思っているのか本音を話せることもあるでしょうし、それを聞いた実親が間に入って継親のフォローをできる時間にもなります。
実親子だけの時間を作る時にはボーナスママは少し寂しい気持ちもするかもしれませんが、捉え方を変えれば一人で過ごしたりセメント(子連れ結婚後、夫婦の間に産まれた子どものこと)と二人だけで過ごす時間に充てることができます。それぞれが満足できるような時間を計画してほしいと思います。また、自分に実子がいるボーナスママも同様に、自分の実子だけと過ごす時間をつくって実子が気兼ねなく甘えられる場を作ってあげましょう。
ステップファミリーに必要な時間③<継親と継子だけの時間>

ステップファミリーに必要な時間の3つ目は継親と継子だけの時間です。
結婚した時の継子の年齢によって違いはありますが、継親と継子で過ごす時間をつくることは継親子の関係を築くのに有効です。子どもが小さいときにはお世話をすることも多いので、一緒に過ごす時間は意識しなくてもすでにあるという家庭も多いとは思うのですが、継親子だけの時間を作る時には<楽しいこと>を意識して日常生活とは別の時間を設けることをお勧めします。
ボーナスママとして継子と一緒に過ごす時間は、どうしても生活のサポートをすることがメインになってしまいます。宿題は終わったのか確認したり・食事のマナーを教えたり・ゲームの時間を気にしたり・・・気が付けば一日中何かを教えたり、伝えたりしていた・・・なんてことも。
ボーナスママと継子は、考え方も時間の使い方も全く違います。ボーナスママには受け入れがたい生活習慣でも、子どもや夫にとっては普通の事だったりしますし、その逆もあります。ゼロから自分が育てていない子どもに何かを教えるというのは想像以上に骨の折れる作業ですから、段々と子どもと何かを楽しむ余裕が無くなってしまうんですよね。
楽しむ余裕がないまま継子と過ごしていると、継子の欠点やできていないこと、合わないところばかりが目に付くようになります。ボーナスママからすれば、本気で心配して子どもの将来を考えて一生懸命教えていることがほとんどなんです。でも、子どもの立場になってみれば、常にダメ出しをしてくる相手の言うことを聞きたいでしょうか。一緒に楽しい時間を過ごせない相手の価値観を、自分に取り入れたいなんて思うでしょうか。
大人でも子どもでも、関係を築くには一緒にいろんなことを経験したり、相手の価値観に共感したりしながら信頼を積み重ねていくしかありません。こちらの言うことを聞いてもらいたいのであれば、言うことを聞きたいと思われるような関係を築くことが先です。
わたしは「この人と一緒にいる時間もなかなか悪くないかも」と継子に思ってもらえているか。継子にとって「話を聞きたいと思える大人でいられているか」。自問自答し続けてきました。そうでなければ、わたしが継子に何を教えてたとしても叱ったとしても、心には響かないだろうと思っていたからです。産まれたときから一緒にいる親子とは違って、愛着も思い出も少ない中で、関係を築くには相当な努力が要ります。ボーナスママが継子を躾けるには実親以上の大変さがあります。
ちなみに、わたしはボーナスママになろうと考えている方や既にボーナスママになった方のサポートをしていますが、ボーナスママになることをお勧めしているわけではありません。すごく難しい立場だと知っているのに安易にお勧めすることはできませんが、前に進みたいと思う方に、わたしの経験を役立ててもらえたらと思って発信しています。
継親子の関係が悪化してしまうときは、楽しい時間よりも叱る時間や不穏な時間の方が長くなっているはずです。最近継親子が一緒に楽しめる時間を持てていたかな?と振り返ってみてください。
わたしが継親子の時間を作る時に意識していたのは、<楽しいこと>や<興味のあること>を計画することでした。日常的に公園や買い物は二人で行っていましたが、それとは別に定期的に二人とも好きなこと・二人とも興味のあることを見つけて一緒にするようにしていました。
わたしも子どもも歌うことが好きだったので、時々二人でカラオケに行きました。
お菓子作りや工作を一緒にしたり、ゲームコーナーに連れて行ったりもしました。
中学生になってからは、二人で軟式テニスをしに行きました。
子どもが好きな歌手のコンサートのチケットをサプライズで手配して、二人で県外に旅行したこともあります。
夫よりも私の方が得意なことや、好きなことを、継子と二人で一緒にしてきました。
セメントの育児に疲れている時期や、継子の反抗期には自分から継子を楽しませる計画を練ることには葛藤することもありましたが、その時々で何かできることはないかと考えて提案してきました。今思えば、それが良かったんだと感じています。
いつもいつもできることではないけれど、時々でも継子と過ごす時間を持つことは、わたしと継子の関係を強くしてくれたと実感しています。二人きりで過ごすときにだけ見える良さに気づけたりしますし、二人きりだとどうしても協力し合わなければならない状況にもなるので、会話が増えて結果的に笑顔が増えたりします。
ボーナスママが得意なことで、継子が興味を持つものがあれば、ぜひ試してみてください。
もし何もなかったとしても、お互いに興味を持つものでちょっと重なるジャンルがあれば一緒にチャレンジしてみると、継子の新たな一面を知ることができたり、継子がボーナスママのことを知る機会にもなりますよ。
ステップファミリーに必要な時間④<継親とセメントだけの時間>

ステップファミリーに必要な時間の4つ目は継親とセメントだけの時間です。
ステップファミリーの中で赤ちゃんが生まれると、ボーナスママは上の継子を見ながらセメントベビーのお世話をする生活がスタートしますが、定期的にセメントとだけ過ごせる時間があるだけで随分と気持ちが楽になります。
赤ちゃんのお世話でいっぱいいっぱいになる時期は、どんなお母さんにもあることです。
継子とスキンシップを取れないと悩んでいる時に、継子の前でセメントを抱きしめるのは申し訳ないと思ったりもしますし、初めての赤ちゃんとの時間をゆっくり過ごしたいと思っていても、継子のお世話はノンストップです。余裕のない状況でセメントと継子のお世話をし続けていると心が疲弊してしまいます。
睡眠時間も満足に取れない・体も心も休まらないときに、やっと赤ちゃんが寝付いたと思ったら継子が騒いで起きてしまう・・・・なんてことが続くのですから、相手が継子でなくてもイライラしてしまいますよね。ボーナスママにとってセメントと二人きりの時間は、周りに気を遣わずに過ごせる大事な時間です。時々はセメントと二人きりの時間をゆったりと過ごせるように計画を立ててみましょう。
また、出産後の女性はホルモンバランスの乱れから精神的に不安定になりやすいものです。産後の女性の約7割は他の人に赤ちゃんを触られると「とられる」ように感じてしまったり、育児のアドバイスをしてくる周りが敵に見えたりするというガルガル期になるともいわれています。初婚でボーナスママになった人の場合は、妊娠もお産も赤ちゃんのお世話も初めてづくしでさらに不安も大きくなります。
ボーナスママさんから寄せられるお悩みの中には「継子がセメントを触るのがいや」というものも少なくありません。わたし自身も同じような感情をもった一人なのでとてもよく分かります。
実際に自分が産んだ子に対して始めて知る感情も出てきます。それが継子に対して感じるものとは同じでないことに気づいて自分自身の中でも葛藤しますし、わたしも赤ちゃんを抱っこしようとしてくる継子に「触らないで」と思ったかと思えば、そう感じてしまう自分が情けなくなってしまったりと、ぐちゃぐちゃな気持ちになってしまう時期がありました。
でも「触らないで」と言いたい気持ちはぐっと押し殺して、抱っこしたいと言うときには継子を座らせて安全の確保をして赤ちゃんを抱かせました。 「今のわたしの感情を優先させて継子とセメントの関係が築けないのと、この時期を乗り越えた時に継子がセメントを大事にしたいと思えるのと、どっちがいいか。わたしはどうしたらいいのか。」と何度も何度も考えて、継子にはセメントをできるだけ抱っこさせることにしました。
おかげで継子はセメントをとても可愛がり、今度はお世話をしたがるようになりました。本当はお世話もしてほしいなんて思っていなかったです。触らないでほしいと思う時期なのだから仕方ない感情ですよね。でも、簡単なお世話をお願いして「ありがとう」と伝え続けました。自分のガルガル期がどこまで続くかは分かりませんでしたが、最終的に子どもたち同士の関係が良くなることをわたしの目標にしました。
当時「継子がセメントを可愛がって、お世話をしてくれるからいいね」と周りの人からは何度も言われました。「そうですね、助かっています」と返事をしながら、「本当は赤ちゃんに誰にも触らないでほしいし自分で全部やりたいんだけどなぁ」と思っていたものです。
1年くらいして心が落ち着いてきたころ、継子がセメントを可愛がってそばにいてくれることを少しずつ「助かるなぁ・ほほえましいなぁ」と思えるようになりましたが「産後すぐの頃、感情のままに拒否しなくてよかった」と思えたのはだいぶ先になってからのことです。
また、ボーナスママが遠慮なくセメントを可愛がれる時間が欲しいと言うと「継子が可哀そう」と言われることがありますが、わたしは逆だと思います。
大人だって自分の実家の両親と過ごすときと、結婚相手の両親と過ごすときには、違いを感じるはずです。言葉遣いを気にするし、振舞いも考えるし、同じだけリラックスすることはできなかったりしますよね。
「継子にできないことはセメントにしないようにすればいい」のでしょうか?継子とスキンシップを取れないボーナスママはセメントを抱きしめてはいけないでしょうか?継子と一緒にお風呂に入りたいとは思えないボーナスママはセメントとお風呂に入ってはいけないでしょうか?そんなことを言っていたら子育てできないです。
だからといって、継子の目の前で何もかもをさらけ出すことがベストではないはずで、継子にしてあげられないことをセメントにしてあげる時には、それを見せないで済むようにする優しさもあると思うんです。感情的に違いがあるのは仕方ないことだからこそ、配慮は必要です。血縁のある無しのせいではなく、年齢的に必要なサポートが違うことを子どもに伝える努力も必要です。
大事なのは、継子が「自分とセメントには差がある」と感じないような配慮をすることであって、何もかもを平等にしようとすることではありません。セメントとの時間を過ごすことで、継子にもやってあげようと思える余裕が出てくることもあります。夫婦で協力して、実親子の時間とセットで計画を立ててみてほしいです。
ステップファミリーに必要な時間⑤<夫婦と継子の時間>

ステップファミリーに必要な時間の 5つ目は夫婦と継子の時間です。
家庭によっては、⑦の家族全員の時間と同じになるところもあると思いますが、ここでいう⑤<夫婦と継子の時間>はセメントや夫婦それぞれに実子のいる家庭向けのお話になります。
ステップファミリーに限らず、子どもが両親を独り占めできる時間は大事です。下にきょうだいができるまでは自分だけを見てくれていたのに、セメントが生まれたら大きく変化してしまって、さみしく思っていることがあります。
他のきょうだいに遠慮せず、親が自分だけを見てくれる時間は、親である大人が意識しないとなかなか作れないものです。とはいえ、子どもが何人もいる中、親の体は一つしかないので、全ての子どもに対して一人ずつの時間を作るのは実際とても大変なことですよね。
頻繁に計画するのは難しいことかもしれませんが、短い時間でも継子を優先する時間が持てているかどうかを振り返ることは大事なことです。継子が「自分はこの家族で大事な存在だ」と感じられているかどうかは、ステップファミリーがうまく関係を作っていけるかどうかに大きく影響します。
- セメントが生まれた後、赤ちゃん返りをした
- セメントを可愛がってくれない
- 継親の言うことを聞かない
- 実親に対しても反抗的
というときは、継子がセメントを羨ましく思うような状況になっていないか、お互いに実子がいるケースではそれぞれが実子だけを優先した時間ばかりになっていないか、振り返ってみるのもいいと思います。また、継子を優先した時間をつくることは次の⑥でお話しする<夫婦とセメントの時間>を作ることにもつながっていきます。
ステップファミリーに必要な時間⑥<夫婦とセメントの時間>

ステップファミリーに必要な時間の 6つ目は夫婦とセメントの時間です。
夫婦とセメントだけの時間が欲しいと願うボーナスママは少なくありません。継子に気兼ねせず、自分の産んだ子と夫とお出かけしたいと思う気持ちになるのは自然なことです。いつも継子が一緒にいる暮らしの中では「自分の産んだ子は後回しになっている」と感じたり、継子ばかりに気にかけるパートナーの態度に寂しい思いをしているボーナスママもいます。
特に初婚でボーナスママになってセメントが産まれたケースでは「赤ちゃんが産まれたらこんなことがしたい!あんなことがしたい!」と理想を持っていたのに、実際産まれたら夫婦の間に温度差を感じることもあります。すでに一通り子育てを経験しているパートナーと、初めて自分の子どもを持ったボーナスママでは、赤ちゃんと一緒にやりたいことへの期待度が違うんですよね。
「セメントと夫婦だけでおでかけしたい」とパートナーに申し出た時「夫に言ってもいい返事がもらえない」というお悩みをこれまで何度もいただきました。でも、良い反応をもらえなかったとしても、ひどく傷ついたり、腹を立てたりしてしまうのはちょっと待ってください。ボーナスママと実親では「セメントを優先する時間」に対しての感じ方が全く違うのです。
ボーナスママにとっては、セメントと夫婦で過ごす時間はおだやかな親子の時間のように感じたりしますが、パートナーにとっては継子を仲間外れにしてしまっているような気分になる時間だったりもするのです。セメントだけを連れてどこかにでかけることに抵抗を感じてしまう実親の感情を知り、どうすればその感情を和らげてもらえるのかを考えてみましょう。
例えば、「夫婦でセメントを公園につれていきたい」と思っているなら。
継子が行きたがっている場所へ継子を連れていくことを先に計画して、継子がセメントに対して譲る余裕を持てるようにします。継子が「自分はこの前〇〇に連れて行ってもらったし」と思ってもらえるようにです。あえて行き先を言ったりはしないかもしれませんが、もし継子に聞かれたら「今回は年齢的に小さな子が行く公園だけど、今度は継子も楽しめるところに全員で行こうね」と話すかもしれません。そして公園に行く日は、継子が別の場所で楽しいことをできる時に合わせます。
これはわたしが意識してきたことであって、正解というわけではありません。家族の状況によっても、子どもの年齢によっても違ってくるので、自分の家庭に合う計画を考えてみてください。
実親が「継子が可哀そうだ」と感じない形でセメントと夫婦だけの時間をつくるには、継子への配慮が必須です。正直なところ理解してもらうために話をしていくのも楽ではありませんし準備も必要ですが、「パートナーは全然分かってくれない」と悲しんだり腹を立てるよりも、理解してもらいやすいような準備を色々ためしてみる方がよほど建設的です。
夫婦とセメントだけで過ごす時間は、日頃継子を気にかけながらセメント育児をしているボーナスママにとって、ふっと力を抜いてセメントだけに意識を向けられる穏やかで大切な時間になります。
実親にはなかなか共感してもらえない部分ではありますが、ボーナスママとしてやっていくためにも感情を我慢せずに過ごせる時間を定期的につくっていきたいですね。
ステップファミリーに必要な時間⑦<家族全員の時間>

ステップファミリーに必要な時間の7つ目は家族全員の時間です。
家族全員で過ごす時間がなぜ7つめなの?1番目じゃないの?と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、全員で過ごす時間は最終目標のようなものです。アメリカのステップファミリー協会の理事であり心理学者のスコット・ブラウニー博士は、ステップファミリーのサブシステム(家族の中のそれぞれの関係)から関係を築くことを勧めています。
この記事の始めの方でもお話ししましたが、ステップファミリーになりたての頃は特に家族全員で過ごす時間を優先しがちです。一緒に過ごす時間を増やせば、早く仲良くなれるんじゃないかと思ってしまうんですよね。ですが、①~⑥の時間をそれぞれ過ごしながら、1対1の関係や小さなまとまりの中での関係を築くことが、実は全員で過ごす時間を楽しめるようになる最短ルートなのです。
たとえ全員で一緒に遊びに行っても、ボーナスママと継子は会話ゼロだったらつまらないですよね。全員で食事していても継子がずっとむすっとしていて実親が心配している状態なら食事もおいしくなくなりますよね。全員で過ごすことを重視しすぎて、常に誰かが我慢している状況になっていることをそのままにしてしまっているなら要注意です。
「家族はいつも一緒にいるべき」と思い込んで無言で食事を一緒に取り続けるよりも、実親子だけの時間や継親子だけの時間を作ってみたり、夫婦だけの時間にお互いの気持ちを伝えあったりねぎらったりする方が、結果的に早く解決することもあります。
初婚同士の夫婦や周りの家庭の“普通”をステップファミリーに当てはめようとしては、うまくいかないことがあるということを、知ってほしいなと思います。
ステップファミリーが家族全員で過ごすときには、誰かが何かしら我慢したり、気を遣いながら過ごしているものです。それをただ悪いことだと思うのではなくて、譲り合って思いやりながら過ごせば楽しく過ごせるし、他の時間を充実させておけば全員で過ごすときに心の余裕ができるんだと何度も体験するうちに、家族全員の時間も悪くないなと思えるようになっていきます。家族全員の時間を楽しめるようになるには時間がかかりますから、焦らずにいきましょう。
ステップファミリーに必要な時間⑧<ひとりの時間>

ステップファミリーに必要な時間の8つ目は<ひとりの時間>です。
ボーナスママは定期的に一人の時間を作ることを自分に許してください。
忙しくて、子どもの世話もエンドレスで、そんなの無理!!と思う方もいらっしゃるかもしれません。
パートナーに打診するのを躊躇してしまう方もいらっしゃるかもしれません。
ですが、自分を癒す時間を持つことを悪いことだとは思わないでほしいのです。
わたしは、結婚当初「一人になりたい」と思うことがいけないことのように感じていて、家族になったのだから・親になったのだから、ちゃんと継子と過ごさなければと思って常に一緒にいました。継子がエンドレスでしゃべり続けるのを聞いていると「しんどいな・・・」と思うことがあっても、これが子育てなんだろうな。我慢しないといけないんだろうなと思っていたし、他にもいろんな場面で無理していました。
でも、その数年後に産まれたセメントたちを育てながら、セメントたちがエンドレスでしゃべり続けるのを聞くのはやっぱりしんどいし、時間的に余裕がないまま子どもたちに一人で向き合う日が続けばいっぱいいっぱいになることに気づきました。それに加えて継子が初めての育児だったからこそ余計にしんどかったのだと分かったのです。
わたしはもともと一人の時間が好きだったはずなのに、ボーナスママという立場が「一人になりたい」と言い出しづらくさせてしまったんだなと感じます。自分が産んだ子を育てるときよりも、継子を育てるときの方が周りの目を気にしてしまうものです。母親になら誰にだって起きるであろうちょっとした愚痴も、疲れて手を抜くことも、“継母”というだけで批判的に見られてしまうような気がして、無理を重ねてしまいます。
でも、ボーナスママになったからといって、常に家族や子どもたちと一緒にいなければいけないということはありません。子どもを預ける場所を確保したり、パートナーにお願いするのは気が引けるかもしれませんが、自分の機嫌をとるために何かをすることは結果的に家族のためになるのです。
ボーナスママにとって常に継子が目の前にいる生活はとても気を遣います。目の前にはいなかったとしても、同じ家の中にいて気配を感じているならやっぱり気疲れします。
自分の価値観とは違う育て方で、すでに物心ついた子どもと関わるのはとても神経を使うものです。「保育士や先生などで仕事として関われる人がいるんだから、それと同じでしょう?」と言われることがありますが、それは大きな誤解です。私生活を共にするということは、時間の区切りがあるわけでも、給料が出るわけでもありません。先生とボーナスママは全く違います。
また、「好きな人の子どもなら好きになれるだろう」といわれることもありますが、それは半分正解で、半分間違いです。好きな人が大事にしている子どもを大事にしたいと思う反面、好きな人が別の相手との間に設けた子どもであることに辛い思いをすることもあります。すでに別の価値観の中で成長している子どもには自分の育児方針が反映されにくい上、一緒にいる時間は実親である夫よりも長く、周りからは母親としての動きを期待されます。継父よりも継母の立場の方が難しいという研究結果がありますが、わたしも育児や家事を求められる量に男女差があるからこそのボーナスママの難しさを嫌というほど感じてきました。
ボーナスママは自分の機嫌を自分で取れるようにならないと、続けていけません。一人で好きなことをしたり、自分のペースで動ける時間を意識してつくりましょう。金銭的な余裕や、時間をつくるのが難しいという方もいらっしゃるかもしれませんが、かけるお金や時間の長さは可能な範囲でいいのです。疲れているとき、家族とうまくいかないとき、自分の気持ちを整理したいとき、気合を入れたいとき、自分が気分よく過ごせるように計画するのはとても大事です。
好きなスイーツを一つ買ってきて食べてもいいし、マッサージを受けるのもいいですよね。自分の気持ちがアガることをいくつも見つけてストックしておきましょう。何をするのがいいか分からないときには、五感別に見つけてみてください。( )に例を入れておくので参考にしてみてください。
- 視覚・・・見て癒されるもの・楽しめるもの(景色・映画・テレビ・動物)
- 味覚・・・好きな食べ物(スイーツ・食事・飲み物)
- 嗅覚・・・好きな香り(アロマ・お香・植物・香水)
- 聴覚・・・好きな音(音楽・自然・オルゴール)
- 触覚・・・触れると癒されるもの(動物・毛布・ぬいぐるみ)
わたしも日常の中でお香を焚いたり、炭酸水を飲んだり、イヤフォンで好きな音楽を聴いたりしていますが、「ちょっと疲れがたまってきたな・・・」と思うときにはプチ贅沢をします。例えば大好きなケンタッキーのドライブスルーでツイスターセットとオリジナルチキンを買って川沿いの公園で一人ランチをしたり、漫画喫茶に行くなどして、好きなことを自分のペースでできる時間をつくっています。1か月に1回でも、数か月に1回でも、自分のために好きなことを計画してみましょう。
わたしも初めは夫にも言い出しづらかったのですが、少しずつ「ちょっと休憩時間をほしいんだけど・・・」と相談できるようになりました。今では「ゆっくりしておいで」と送り出してくれるのでありがたいです。初めからすんなり行ったわけではありませんが、何度も何度も話し合ってきたからこそ、できることだと思っています。
ボーナスママは家の中で過ごす時間や継子と過ごす時間が多くなりがちで、自分のペースで動けないストレスも大きくなります。一人の時間を必要とする度合いには個人差がありますが、もし「ひとりになりたい」と思うならぜひ時間を作ってみてください。自分で自分を癒したり、機嫌良く過ごすためにできることを見つけていきましょう。ボーナスママの笑顔でご機嫌な状態は、きっといい形で家族に伝染していきますよ。
意識して作らなければ時間は生まれない

今回はステップファミリーに必要な8つの時間と書きましたが、セメントがいる・いないでも必要な時間は変わりますし、継子の年齢や実母との面会交流の有無によっても状況は変わってきます。
重要なのは「意識して作らなければスケジュールに入らない時間」を大事にして計画するということです。
優先順位は家庭によって違うかもしれませんが、特に「夫婦の時間」や「夫婦とセメントだけの時間」「ひとりの時間」は作るのが難しい時間だと思います。これらは夫婦で相談して調整しなければ、なかなか作れない時間です。初めは言い出すのも勇気がいりますし、夫婦で同じような考え方になっていくにはとても時間がかかります。一気には変えられないかもしれませんが、焦らず、少しずつ、自分にとって家族にとって必要な時間をつくっていきたいですね。